新型コロナの影響は 2024 - 2025 年まで続く

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安倍元首相の衝撃的な銃撃事件からまだ日が浅いですが、新型コロナにとっては関係ないようです。

現在猛威を振るっているのはオミクロン株ですが、その中でも主流は BA.5 で、さらに BA.2.75 という新たな変異種も見つかっています。
BA.2.75 はケンタウロス株とも呼ばれており、BA.5 と同様、もしくはそれ以上に感染力が強く、今後 BA.5 から置き換わる可能性もあります。

ケンタウロス株という呼称は正式名称ではなく、その特異性から研究者のあいだで使われていたものが広がり、一般にも使われるようになったようです。
この株は BA.2 の 75 番目の変異株で、インドで初めて感染が確認され、すでに日本でも感染例があります。
BA.5 と比較して約 3 倍の感染力があるという報道もありますが、ケンタウロス株の性質を正確に把握するにはサンプルが少なすぎます。
ただ、インドでは急速に感染が広がり BA.5 を上回った後、まもなく感染がおさまりつつあります。
これがすべてではないでしょうが、ケンタウロス株は BA.5 に置き換わるほど長期にわたる影響はないのかもしれません。

以前当サイトで予想したとおり、第 7 波が今夏を襲っておりますが、少なくとも今冬には第 8 波まではあると推測されます。
それ以降も第 9 波、第 10 波はあると考えられますが、メディアでは伝えられなくなるかもしれません。
というのも、新型コロナの感染症リスクが 2 類から 5 類に引き下げられる可能性があるからです。
岸田政権下ですでに検討が始まっており、個人的には、おそらく塩野義製薬の飲み薬(経口抗ウイルス薬)ゾコーバが特例承認され、安定供給できる体制が整ったあとに引き下げられると予想しています。
いくら毒性が弱まっているとは言え、インフルエンザと決定的に違うのは飲み薬の有無(安定供給が前提)なので、少なくとも新型コロナの認識が改まるターニングポイントとなるでしょう。
すでに海外製の「モルヌピラビル(販売名: ラゲブリオ)」や「ニルマトレルビル・リトナビル(販売名: パキロビッド)」などが特例承認されていますが、供給量が圧倒的に足りません。
ゾコーバの承認は効果が微妙で先送りになりましたが、次回の緊急承認制度による審議までには、治験のサンプル数が増えてもっと正確な効果を測定できるはずなので、年内には承認されるのではないかと思っています。

新型コロナの感染症リスクが 2 類から 5 類に引き下げられた場合、感染者数の観測方法は全数把握から定点把握に移行します。
そうなれば「第○波」といった呼ばれ方もされなくなることでしょう。
ただし、コロナの影響から本格的に脱却するのはそこからさらに時間が必要になるはずです。
その黎明となるのが 2023 年であり、2024 年あるいは 2025 年には新型コロナは過去の脅威として語られていると信じています。

とはいえ、経済状況はまだ明るい話が出てきません。
WHO は新型コロナ以来となるパンデミック宣言を「サル痘」に対しておこないました。
天然痘のワクチンが効くらしく、少なくとも日本において大きな脅威になることはなさそうですが、ロシアのウクライナ侵攻や、もはや日常になってしまった異常気象など、脅威は後を絶ちません。
物価高騰はまだ収まりを見せず、新型コロナが終息したからと言って、今の極端な円安傾向が円高に転じるとは思えません。

世の中まだ苦しいことが多いですが、私たちには、今できることを精一杯やることしかできません。
どこかの国際政治学者がマスクを外して集団免疫をつけた方がよいとか言っていますが、自分のように感染したくない人間からすればとんでもない発言です。
政治学者はあくまで政治視点での意見を述べているのであって、医学的見地からの発言でないことに注意を払う必要があります。
政治学的見地から見ればマスクを外すという行為は、社会のコミュニケーションを活性化し、経済回復に寄与するでしょう。
また、厳しい日本の夏では熱中症を避ける有効な手段のひとつでしょう。

ただ、いいことだらけではありません。
彼らは自分の立場上都合のいいことばかりを流布し、マスクを外した場合の危険性に触れません。
彼らのコメントを信じてマスクを外して感染し、重症化したり後遺症が残ったとしても、当然ですが彼らは何のケアしてくれません。そう、責任がないのです。
実際、多くの医師たちは今でもマスクをつけることを基本的予防策として推奨しています。(外出時、人の密集がなく、移動など同じ箇所に一定時間とどまることがないような状況であれば外して問題ないとも言っています)
テレビのようなメディアでは、社会全体に対する発言であっても、あたかも自分に向けられたように感じてしまいがちなので、その点を踏まえて彼らの発言を受け止める必要があります。

経済重視の方針には賛成ですが、マスクは個人ができるもっとも簡単な感染防止策であることは疑いようがありません。
今の変異株の感染力は非常に強く、個室で数十分間話をすればマスクをしていても感染する可能性はあります。
ただし、マスクをしていなければもっと早い段階で感染します。
どちらかと言えばマスクの意義は「感染しない」から「感染させない」に移行している、つまり、無症状の感染者になっているかも知れない人が、周りに感染を広げることを防止する意味合いが強いです。
でもそれは結果的に感染の鈍化につながり、感染したくない人にとってはよい環境になります。
あえて感染を早めて集団免疫を獲得したとしても、これだけ変異するウイルスなので、再感染しないことにはならないのです。

以前にも述べましたが、自分の命を守るのは自分しかいません。
今の変異株はほとんどの場合重症化しませんが、その少ない枠に入らない保証はないのです。
そして、感染者数のように明確な数値になっていませんが、重症化しなくとも、何らかの後遺症が残るケースがあります。
現実的に言えば、この後遺症がもっとフォーカスすべき懸念点でしょう。
味覚が鈍化するのは既報の通りですが、頭痛や咳などが続くようになる症状もあるようです。
いずれも周りからみれば軽度の症状に感じられますが、実際は違います。
味覚が鈍化すれば塩分の強い食事になりがちになり、長期的には栄養が偏ることで不健康になり、ほかの病気を誘発します。
頭痛や咳は度合いにもよりますが、頭が割れるような痛みは恐怖すら覚えるし、咳はぜんそくのようになってしまうと呼吸も大変で夜も寝付けません。
ワクチンが開発され、弱毒化も進み、飲み薬が登場したとしても、新型コロナの歴史は浅く、未だに後遺症対策などは十分でない点には注意が必要です。
インフルエンザと同等の 5 類に引き下げられたとしても、インフルエンザと同じ心構えでいると痛い目を見るのはあなたかもしれません。

自分はしませんが、外では息が霧散するので、近距離で一定時間会話することがなければ、マスクを外していても問題はないと思います。
それ以外の狭い空間や、人が多い、あるいは距離が近いときにはマスクはすべきという意見は今でも変わりません。
もちろん判断は個人に委ねられますが、もし自分が感染することに抵抗がなくても、人に感染させることに対しては抵抗を持ち続けてほしいと願うばかりです。

ウイルスによる脅威は新型コロナ終息後も、いつか人類に襲いかかってくることでしょう。
それがいつになるかはわかりませんが、最終的に頼りになるのは自分自身です。
答えが出るのはいつも時間が経ったあとなので、そのとき正解だと思うことをしても必ずしも実際の正解にたどり着けるわけではありません。
大事なのは、氾濫する情報を精査し、現在の自分の置かれている状況を踏まえ、どういう行動をする(あるいはしない)のが最善なのか、常に考え続けることなのです。