2024 年の新型コロナ事情

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新型と呼ぶのもどうかと思ってしまいますが、すでに第 10 波が到来しているようです。

感染症リスクが 2 類から 5 類に引き下げられ、メディアでも一切報じられなくなった新型コロナですが、現在も猛威を振るっているようです。

東京都の定点把握によると、1 週間(4/15 - 4/21)に確認された 1 医療機関あたりの感染者数の平均値は「2.77」だそうです。
令和 2 年度の東京都の医療施設の数は、病院が 638、一般診療所が 13889、歯科診療所が 10642 とのことなので、歯科を除いた数をおよそ 14500 とすると、2.77 x 14500 = 40165 となり、1 週間でおよそ 4 万人が新型コロナに感染していることになります。
あくまでも概算であるのですが、未確認の隠れ感染者がその 10 倍だとすると、1 週間におよそ 40 万もの人が感染していると見るべきかもしれません。

これは、行動制限がなくなり、人の流れが新型コロナ前のように活発化したこと、マスクをしなくなったこと、ウイルス自体の感染力が上がったことに起因していると推察されます。
東京都においては、5/8 に事業者への対策要請・協力依頼が廃止となるため、店舗側の制限も完全撤廃されることになります。
例年通り、冬と夏にウイルス感染者は増加するため、今後さらなる感染拡大が予想されます。

とはいえ、ワクチンや予防薬の普及により、新型コロナに対する脅威レベルが下がっていることは事実でしょう。
感染時の症状も、初期のように重症化になることはあまりなく、主におなかにくるもの(腹痛・下痢)が多いようです。
ただ、現状においても、基礎疾患を持っている人にとってはいまだに怖いウイルスのままです。
ほかのウイルス対策も兼ね、手洗いうがい、空気の流れがあまりないところでのマスク着用をできるだけ心がけるようにしましょう。

ちなみに、マスク無意味論などありますが、効果は確実にあります。
まずおさらいですが、新型コロナの感染ルートは主に以下のとおりです。

  • エアロゾル感染
  • 飛沫感染
  • 接触感染

接触感染は関係なさそうに見えますが、癖で無意識に手で顔に触れている人などは、マスクによって口周りに手が触れることがなくなり、感染リスクを下げられます。

飛沫感染に関しては「自分が」ではなく、「人にうつすリスク」が減ります。この時点ですでに自分が感染していることが前提の話になってしまいますが、感染拡大を抑制する意味では非常に重要です。
逆に言うと、周りの人がマスクをしていれば、もしその中に感染者がいても飛沫が飛びにくいため、飛沫によって自分が感染するリスクが大幅に下がります。
人にマスク着用を強制することはできないので、なかなかコントロールするのは難しいですが、感染について正しい知識を持ち、正しく対処している人との付き合いを増やしたいものです。

エアロゾル感染はもっともやっかいな感染リスクと言えるでしょう。
マスクをしていても呼気はどうしても漏れ出ます。同様に吸気もある程度マスクを通過せずに周りから入ってくるため、マスクをきちんと着用したとしても感染リスクは半減程度です。
半減でも効果は高いですが、現在の新型コロナは感染力が高いため、たとえマスクを着用しても、密閉された空間だと 30 分程度とどまっているだけで感染リスクはぐっと高まってしまうでしょう。

この話が議論されるとき、様々な実験結果がエビデンスとして使われます。
それはそれで事実なのでしょうが、正しい工程を経ておこなわれた実験なのか、偏りはなかったのかなど、本来であればそういった部分も検証して初めて有用な情報として利用できます。
しかし、議論の際にはその結果だけが重要視されるため、しばしば結論がねじ曲げられることがあります。
これらの議論の中から本当に重要な情報を得ることはなかなか難しいのが常です。

なので、少し見方を変えてみましょう。
新型コロナの感染源は基本的に「人」です。もっと厳密に言えば、唾液などの分泌物です。
これらは単純に液体だけでなく、エアロゾルのように気体に近い状態にも含まれます。
要するに、それらが体内に入ることをできるだけ防止できればよいわけです。

外部の物質が体内に入る可能性があるのは、簡単に言えば「穴」があいた部分です。
具体的には、目、口、鼻、耳、肛門、生殖器です。
この中で、日常的に最も外部の物質が入ってくるのは、どう考えても「口」ですよね。
そして、マスクはその口に対するフィルターです。
マスクという物理障壁を設けることで、普段視認できないものが不意に口の中に入るリスクが確実に減ります。
これは同時に、感染源となる「人の分泌物」が不意に口の中に入ってくるリスクも減るということになります。
結果、マスクは感染リスクを減らすのに有効な手段と言えます。

マスクによる感染予防は、新型コロナに限ったことではありません。
夏の暑い時期などは無理をする必要はありませんが、周りに惑わされることなく、外出時はできるだけマスクをして、自分の健康のために自己防衛を心がけましょう。

【参考文献】